令和5年9月19日
九州農業食料工学会 会員各位
九州農業食料工学会
学会長 鹿内 健志
(琉球大学農学部)
九州農業食料工学会会員の皆様におかれましては、益々ご活躍のこととお慶び申し上げます。
この度,2023~2024年度の九州農業食料工学会会長を務めることになりました.前会長の田中史彦先生はじめ,歴代の支部長,常任幹事,そして会員のみなさまが築き上げてこられた九州・沖縄および山口での「農業機械,農業機械化,農業施設及び食料・生物資源の工学的処理等,農業食料工学の研究と普及活動を通して,農業の進歩発展と会員の交流を図ること」をこれからも引き継ぎ,さらに推進してまいります.皆様のご支援を心よりお願い申し上げます.
昨年度の運営細則の改正により,研究発表会は九州農業試験研究推進会議農業機械・土木検討会と共催で行われることとなりました.2023年度の研究発表会(例会)は琉球大学(沖縄県)にて対面開催されます.今後の研究発表会については,高橋仁康 副会長(農研機構 九州沖縄農業研究センター)と稲葉繁樹 副会長(佐賀大学)と協力し,新たな共催体制の下で会員の皆様が積極的に発表できる機会を提供できるよう,各地区の大学や国や県の試験研究機関および企業の方々との連携のあり方を検討してまいります.
私自身,この数年大学教育のあり方に関わる業務に従事しておりますことから,本会が大学教育の中でどのように貢献しているかを見つめたいと思います.2023年度の例会では「歩行用トラクタコンペティション」を実施する予定です.昨年に開催された九州農業食料工学会主催のアイデアコンテストでの提案を人材育成委員会が実現に向けて計画しております.農業機械教育において実機操作や機械の設計開発に携わる機会が少ないことへの問題意識やコロナ禍で学びの場での人的な交流が著しく制限された学生に様々な人との交流を提供する機会となるものです.2023年6月に閣議決定された「教育振興基本計画」では「イノベーションを担う人材育成」が目標として掲げられており「地域資源や科学技術等を活用した社会課題解決に向けた教育」の推進に本会の活動が貢献することにもなります.なお,本計画を実現するために井関農機様から参加する5 大学にミニ耕うん機を寄贈いただいたことに厚く御礼申し上げます.
また,Society 5.0(超スマート社会)等の社会変革に対応する実践的・創造的技術者を養成する必要性から,大学では数理・データサイエンス・AI教育を強化しているところです.九州・沖縄地区では各大学が連携しモデルカリキュラムや教材等の継続的な普及・展開を進めており,これらの取り組みで本会の会員が中心的な役割を果たしています.教育DX の推進・デジタル人材の育成の観点からは,九州大学と宮崎大学で文部科学省の「デジタルと専門分野の掛け合わせによる産業DXをけん引する高度専門人材育成事業」に農業DXに関する取り組みが採択されました.デジタル社会への環境変化に対応した資質・能力を涵養するため,スマート農業などの実践的教育のためのDX教育設備を導入し,新しい教育カリキュラムの開発や実験・実習の高度化などを本会の会員が積極的に進めているところです. このように大学教育を通して農業従事者が減少する中でも,農業生産持続を可能にする人材育成に努めております.本会としても大学での人材育成に貢献し,また学生会員への積極的な働きかけを進めたいと考えます.
最後になりましたが,学会の発展に向けて尽力し,会員の皆様にとってより充実した活動が行えるよう努めてまいりますので,引き続きご支援とご協力を賜りますよう,心よりお願い申し上げます.